夜の都市には必ず「空席」が残る

終電が近づいても照明は完全には消えない。 ビルの谷間には意味を失った明かりがいつまでも点いている。

誰も座らないベンチ。 いつ閉まったのか分からない個人店のシャッター。 コンビニの前で誰も寄りかからない手すり。

そういう場所には、 「空席になった感情」が薄く溜まっている。

都市には使われていない感情が落ちている

誰にも言えなかった愚痴。 聞いてほしかったけど送信しなかったメッセージ。 ちゃんと疲れているのに「大丈夫」とだけ返した夜。

そういうものは行き場を失って消えるわけではない。 ただ都市のどこかに落ちて、 誰にも拾われないまま夜の中に残っていく。

横浜の夜はその未使用の感情がやたらと多い。

空席は都市の「内面世界の何もない場所」でもある

空いている席は物理的なスペース以上の意味を持つ。

• 誰かが座らなかった選択の跡
• 本当は一度くらい休めたはずの場所
• 何も起きなかった時間の受け皿

空席が多い都市は そこに座るべきだった感情がそのまま浮遊している都市でもある。

横浜はまさにそういう街。

横浜リフレと「空席の編集」

リフレや添い寝のようなサービスは ある意味で 空席の編集装置 。

誰にも座れなかった感情を いったん「この部屋」「この時間」という形にして座らせなおす。

それは派手な解決ではない。 ただ夜の中に余ったままの感情が 一度だけ安全に置かれるための一時的な席を用意する行為だ。

横浜リフレというジャンルが 他の街よりも「静かさ」と「感情」に寄りやすいのは 都市自体が抱えている空席の多さと無関係ではない。

編集されない夜は資源でもある

未編集の夜は 観光案内には載らないし広告にも使われない。

けれどそれは 物語を置くためのスペースとしては最高のコンディション。

• テーマパーク化されていない景色
• ブランドで上書きされていない路地
• ストーリーが決定されていない川沿い

そういう場所に どんな物語を流し込むかで都市の未来の顔つきは変わる。

都市の孤独は空席として可視化できる

「寂しい」という感情はつかみにくい。 けれど

• 誰も座らないベンチ
• 声のしないカラオケの看板
• 人のいないエレベーター前

こうした空席を意識的に数え始めると 都市の孤独が急に姿を持ち始める。

横浜という都市をどう編集するかは この「空席の扱い方」をどう決めるかという話でもある。